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発掘調査

NN‐G-47号窯跡の発掘調査

 平成24年度、日進市赤池町で発掘調査を行い、窯体1基とそれに伴う前庭部を検出しました。窯体は、丘陵斜面をトンネル状に掘り抜いて構築された「窖窯」と呼ばれる構造です。燃焼室、焼成室、煙道部から構成され、燃焼室と焼成室の境界には分炎柱を伴います。検出した窯体は、煙道部の先端付近を流失していますが、残存長10.42m、残存部分の最大幅2.8mを測ります。燃焼室長は2.38m、焼成室長7.32mで、最大幅は焼成室の中央付近にあります。床面傾斜は、焚口から分炎柱の手前約50㎝付近までは水平ですが、焼成室では17~18度のほぼ一定の傾斜で上昇し、煙道部へと続いています。床面および壁面は粘土が貼付され、壁面の一部には工具の痕跡も認められました。
 前庭部は、焚口手前に拡がりますが、調査区外のため全体の規模は不明です。付属施設として、焚口左側からは土坑1基を検出しました。土坑の中には、窯内から掻き出された焼土や炭化物とともに焼成に失敗した山茶碗や小皿、焼台などが廃棄してありました。
 遺物は、窯内と土坑から出土し、山茶碗とそのセットとなる小皿が大半を占め、他に片口山茶碗、陶丸、甕などが認められました。山茶碗は、付高台を有し、その端部には籾殻の痕跡が認められました。小皿は、糸切未調整の平底で体部は直線的に仕上げられています。片口山茶碗は、山茶碗より大きく成形され、口縁部の一か所に注ぎ口が施されています。陶丸は、手捏ねにより球形に成形されています。甕は、いずれも破片資料ですが、特殊品に分類されていす。
 本窯跡は、猿投窯の鳴海地区(鳴海支群)に帰属する山茶碗焼成窯に分類され、出土遺物の形態的特徴から12世紀末から13世紀前葉にかけて操業したと考えられます。平成22年度に調査したNN-G-48号窯跡と同様に甕類が併焼された特殊な窯炉に相当しますので、中世猿投窯における甕生産を考えるうえで重要な窯跡となります。

焚口付近から見た窯体
焚口付近から見た窯体

土坑
土坑