発掘調査
石田遺跡の発掘調査
石田遺跡は瀬戸市南部の幡山区、江戸時代における旧山口村に所在する遺跡で、その範囲は東西1.2km、南北0.5kmと広大です。その中で、平成23年度に個人住宅や集合住宅建設に伴い、約130㎡について発掘調査を行いました。
調査では竪穴式住居跡2棟(SB1・SB2)と掘立柱建物跡2棟(SH1・SH2)、溝1条(SD1)の他多数の柱穴(ピット)など、かつてその場所に集落が存在したことを証明する遺構が見つかりました。調査面積が小さいため全体像を把握するに至りませんでしたが、SB1が推定で東西6m・南北7m、SB2が東西8m以上・南北7.5mで、さらにSB2の北側の壁面には当時ここで生活した人が使用していた竈(かまど)が2か所検出されました。また、SB1・SB2ともに床面には建物を建てる際に使用した鋤や鍬といった工具の痕跡が見つかっています。この建物をはじめ、他の遺構から出土した遺物は土師器や須恵器が中心で、その遺物の年代から、今回見つかった集落が主に8世紀から9世紀にかけて営まれたものであることがわかりました。
江戸時代の弘化四年(1847)に作成された「山口村絵図」をみると、調査地点周辺は水田となっており、少なくともこの時にはすでに耕作地として利用されていたことがわかります。それより以前の土地の利用状況は不明と言わざるを得ませんが、8・9世紀以外の遺物がほとんど出土していないことから、10世紀以降、ここで集落が営まれることはなかったと考えられます。
調査区全景(南から:手前がSB1・2)
竈検出状況(南から)
土師器甕出土状況(東から)