発掘調査
折戸(O)-G-5号窯跡の発掘調査
本窯跡は、日進市米野木町南山地内、猿投西南麓古窯跡群(猿投窯)の折戸地区に所在しています。中部電力株式会社の実習場拡充に伴って、平成21年度に発掘調査を行いました。 確認された遺構は窯体1基とそれに伴う灰原です。窯体は製品を焼くための部屋(焼成室)の上半から煙出し(煙道部)にかけて既に流失しており、残存するのは焚口から焼成室下半にかけてのみでしたが、焼成室の最大幅は3.5mと広く、この窯がいかに大きな容積をもっていたかがうかがえます。また、検出された床面の下には別の床面が確認されたことから、この窯体が、少なくとも1回の改修を受けていたことがわかりました。 灰原は、窯を操業した際に出た灰や炭、そして焼成不良となった製品が捨てられた場所で、窯体の斜面下方で数か所にまとまって確認されました。ただし、その内の1か所については確認された窯体から離れた場所で検出されたことから、別の窯体が近くにあった可能性も考えられます。
出土した遺物は山茶碗といわれる無釉の碗・皿のセットがほとんどで、この他壺や片口碗・陶丸などが少量出土しています。この碗や皿の形態的な特徴から、本窯が13世紀前葉に操業していたことが明らかになりましたが、この時期は、猿投窯全体が窯業生産の最盛期を迎えており、本窯跡もそうした背景の一翼を担っていたと考えられます。
窯体完掘状況(東から)
灰原検出状況(南から)