発掘調査

東印所A窯跡の発掘調査

 東印所(ひがしいんぞ)A窯跡は、瀬戸市の中央部に位置する瀬戸区の北部、瀬戸川右岸の標高160m前後の丘陵南斜面に立地していました。発掘調査では、地下式の窖窯(あながま)と呼ばれる窯体1基とこれに伴う前庭部および土坑と灰原を発見しました。窯跡が立地する斜面は砂防工事によって階段状に形成されていて、前庭部の一部や、灰原の堆積が失われていました。
 窯体の側壁は、焚口から煙道部にかけてほとんど残存していましたが、天井部の大半は崩落しており、床面もほとんど流失していました。窯体の規模は全長10.6m、最大幅2.4m、焼成室中央の天井残存部の高さは1.14mです。窯体は床面の嵩上げと側壁の幅を狭める改修が行われていました。窯体の左右には土坑がありました。
 灰原は前庭部の斜面下方から谷底にかけて扇状に拡がっていて、製品の不良品や窯道具の焼台などが廃棄されていました。
 遺物は、山茶碗と呼ばれる無釉の碗とそのセットとなる小皿のほか、片口鉢・入子・陶丸と、「古瀬戸」と呼ばれる施釉された四耳壺・瓶子・水注・徳利形瓶・卸皿・底卸目皿があります。
 最終段階の窯体には無釉陶器が残されており、「古瀬戸」焼成から無釉陶器焼成へと変遷し、13世紀前半から後半にかけて操業したものと考えられます。

完掘状況(南から)
完掘状況(南から)

二次窯完掘状況(南から)
二次窯完掘状況(南から)

二次窯西土坑完掘状況(南から)
二次窯西土坑完掘状況(南から)

窯体遺物出土状況(南から)
窯体遺物出土状況(南から)