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発掘調査

若宮遺跡(山口町304・305番)の発掘調査

 若宮遺跡は、瀬戸市南部を東西に流れる矢田川流域に形成された沖積地のうち、上流部右岸に東西約700ⅿ、南北約500ⅿの広大な範囲に広がっています。平成15年度以降、数次にわたる確認調査や発掘調査が行われ、遺跡の状況が徐々に明らかにされつつあります。
 これまで行われた本遺跡における発掘調査は、主に遺跡の東端に集中しており(若宮町3-84番地・3-130番地)、2世紀後半から6世紀までの遺物(主に土師器)が多く含まれる土層が確認されていますが、住居跡など人々の生活に関わる直接的な痕跡はみつかっていませんでした。こうした中、平成27年度には遺跡のほぼ中央に位置する山口町304・305番での発掘調査が行われました。本調査では、3世紀から6世紀にかけてのものが中心と思われる土師器や須恵器が多く出土し、さらに竪穴式住居跡が3棟検出されるなど、当時の生活の痕跡がみつかりました。これは周辺で集落が営まれた証であり、本遺跡では初めての発見となりました。
 若宮遺跡の北側丘陵上には塚原古墳群や高塚山古墳群など多くの古墳が群集していることはよく知られており、矢田川上流域の沖積地や台地上ではこれらの古墳に葬られた権力者の集落の存在が想定されていました。今回の調査によって、各古墳群と集落の直接的なつながりが全て明らかにされたわけではありませんが、ひとつのきっかけを得ることができたと考えられます。


竪穴式建物跡検出状況①


竪穴式建物跡検出状況②


土師器出土状況