発掘調査
大坪西遺跡の発掘調査
大坪西遺跡は、市域南部を流れる矢田川左岸に形成された高位段丘上に、東西約200ⅿ、南北約150ⅿの範囲で広がっています。本遺跡については平成12年度から17年度にかけて愛知県が遺跡の南辺部の発掘調査を行っており、その際、縄文時代後期中葉から晩期前半(約4000年~3000年前)にかけての遺構・遺物が検出されています。その評価については、本遺跡よりも140ⅿ南にあり、同様の時期の遺構・遺物が見つかっている大坪遺跡との関係が指摘されています。
平成27年度には、瀬戸市によって遺跡北辺の発掘調査が行われました。この調査では自然流路と考えられる溝や落ち込みが検出されたのみで、人為的な痕跡は確認できませんでした。出土した遺物は12世紀から15世紀の中世遺物が大半を占め、愛知県の調査とは対照的に、縄文時代のものは1点も出土していません。このことから、中世の段階で何らかの土地利用がなされたと考えられますが、出土した遺物の中には中世唯一の国産施釉陶器「古瀬戸」の天目茶碗や燭台など、一般的な集落ではあまり消費されない製品がみられることから、そういったものを所有し得た空間が近くに存在していたことが想定できます。
大坪西遺跡 調査区完掘状況
大坪西遺跡出土
大坪西遺跡 古瀬戸燭台