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発掘調査

品野西遺跡(品野町4‐1086地点)の発掘調査

 本遺跡は、瀬戸市品野町4丁目及び6丁目に所在します。品野盆地を西流する水野川の左岸に広がる東西約420m、南北約480mに及ぶ、大集落遺跡です。遺跡の中は、水野川近くが沖積地、その南に河岸段丘、南端部は低丘陵となっています。区画整理事業の一環として、平成3年から遺跡全域を対象とする大規模な発掘調査が行われており、遺跡の全容が明らかになっています。

 平成28年に、遺跡南端部の丘陵において、集合住宅の建設に伴う発掘調査を行いました。調査面積は、東西20m、南北12m、面積240㎡です。調査区のすぐ北側では、多数の中世墓遺構がみつかり、15世紀を中心とする時期に墓地が形成されていたことが確認されています。今回の調査においても、遺体を荼毘に付すための施設である火葬施設を5基検出しました。そのうち、もっとも残存状態の良好であったSZ02は、平面形が南北に長い隅丸長方形の土坑で、長辺1.2m、短辺0.9m、深さは最大で0.2mを測ります。土坑の床面には、部分的に被熱痕が残っており、その上には5個の石が敷かれ、その周辺に炭化物・焼土・骨片が堆積していました。また、土坑北側では、匣鉢と思われる破片がまとまって出土しました。これが副葬品ならば、SZ02は、遺体を火葬した後に副葬品を納め、そのまま埋葬する「火葬施設墓」の可能性があります。中世墓遺構以外では、調査区南端に17世紀(江戸時代中期)の落ち込みがある他は現代溝と時期不明の遺構のみで、調査区周辺の景観を解明することはできませんでした。

 本調査地点は、これまでの調査によって中世墓域東縁に当たるとの想定ができ、今回の調査において中世墓遺構が調査区西半にのみ検出されたことにより、この想定が証明されたことになります。ただ、土地の削平によりほとんどの遺構が底部しか残っていませんでした。もしかすると、滅失した遺構もあるかもしれません。何百年という時間の経過の中で、少なからず遺跡が壊されていることを実感する調査でもありました。


調査区全景(南から)


火葬施設(SZ01)


火葬施設墓(SZ02)


火葬施設(SZ03)